産業廃棄物とは…

産業廃棄物とはどんなものなのでしょうか?
最初に廃棄物とは…?から説明していきます。

 

廃棄物とは、日常生活や事業活動において排出される、廃棄される不要物のことです、固体や液状のものを指します。
廃棄物は、排出する元から産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。しかし、事業活動から排出されるものすべてが産業廃棄物になるわけではありません、事業活動で発生した産業廃棄物であっても、品目によって特定業種が定められていて、特定業種以外から発生したものは、産業廃棄物の品目であっても産業廃棄物ではなく事務系一般廃棄物という扱いになります。その指定業種が決められている品目は、紙くず・木くず・繊維くず・動物性残さ・動物系固形不要物・動物のふん尿・動物の死体の7種類です(排出元の指定業種は下記表よりご覧ください)。

 

廃棄物の区分

 

廃棄物の区分 排出元 処理の責任者 収集運搬のための許可区分
産業廃棄物 事業活動によって産業廃棄物を発生させている事業者 廃棄物を発生させた事業者 産業廃棄物収集運搬業許可
事務系一般廃棄物 事業活動で産業廃棄物を発生させたが、限定業者以外の事業者 廃棄物を発生させた事業者 一般廃棄物収集運搬業許可
一般廃棄物 日常生活で廃棄物を発生させた一般家庭 市町村 一般廃棄物収集運搬業許可

 

「一般廃棄物収集運搬業許可」とは…

一般廃棄物収集運搬業の許可は、各市町村単位になっていています。許可を持っている市町村内だけで一般廃棄物の収集運搬を行うことができます。しかし、一般廃棄物収集運搬業の許可を現在受付けている市町村は少ないのが現状です。
なぜならと言いますと、法律を出して申し訳ないのですが、この法律が理由になっていますのでご理解ください、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)・7条5項で下記のように定めているからです。
7条5項
市町村長は、第1項の許可(一般廃棄物収集運搬業許可)の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない
@当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること
Aその申請内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること
この2つの要件が整っていない限り、市町村長は一般廃棄物収集運搬業の許可を出してはいけないと定められているのです。市町村で一般廃棄物の収集運搬が困難と判断した上で、市町村の計画に適合していると判断されてはじめて許可が下りるというものです、つまり、一般廃棄物収集運搬業の許可は市町村に強い裁量権(決定権)があるのです。市町村に一般廃棄物収集運搬業の許可が可能かの問い合わせをしますと、多くは「一般廃棄物収集運搬業の許可業者は足りているので、新規の許可を出す予定はありませんね」といわれてとりつく暇もないです。このような状況から一般廃棄物収集運搬業許可を取得するのは困難といわれています。
※産業廃棄物収集運搬業の許可では、一般廃棄物を収集運搬することはできません

 

産業廃棄物の種類

産業廃棄物は、下記表の20種類になります、前述した紙くず等の7種類を産業廃棄物として収集運搬しなければならない「排出限定業種」も記載しています。「限定業種」以外で発生した産業廃棄物は、事務系一般廃棄物になりますので産業廃棄物収集運搬業許可では収集運搬はできません。例えば、一般的な事務所で発生した紙くず、衣服を製造する繊維製品製造業者で発生した繊維くずは事務系一般廃棄物です、産業廃棄物収集運搬業許可では収集運搬することはできません。

 

種類 排出限定業種 内容(事業活動に伴って発生するものに限る)
燃え殻 石炭がら、焼却残さ、炉清掃廃棄物。
汚泥 泥状のもので、有機性及び無機性のすべてのもの。
廃油 揮発油類、灯油類及び軽油類を除く、すべての廃油。
廃酸 酸性廃液のうち、pH2.0以下でないもの。
廃アルカリ アルカリ性廃液のうち、pH12.5以上でないもの。
廃プラスチック類 固形上の廃プラスチック類。
紙くず

建設業、パルプ、紙、紙加工製品、
新聞業、出版社、製本業及び印刷物加工業

左記の業種から発生する紙くず(工作物の新築、改装又は除去に伴って生じた紙くずを含む)。
※合成紙は廃プラスチック類です。

木くず 建設業、木材・木製品・パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業 左記の業種から発生する木くず(工作物の新築、改装又は除去に伴って生じた木くずを含む)。
繊維くず 建設業、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)

左記の業種から発生する天然繊維くず、糸くず(工作物の新築、改装又は除去に伴って生じた不要物を含む)。
※合成繊維くずは、廃プラスチック類です。

動植物性残さ 食料品製造業、飲料・飲料製造業(たばこ製造業を除く)、医薬品製造業、香料製造業

左記の業種において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物。
※飲食店等から排出される動物性残さは一般廃棄物です。

動物系固形不要物 と畜場、食鳥処理場 とさつ又は解体した獣畜及び食鳥処理した食鳥に係る固形上の不要物。
ゴムくず

天然ゴムくず。
※合成ゴムは、廃プラスチック類です。

金属くず 鉄くず、空き缶、スクラップ、溶接かす等。
ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず

@ガラスくず:廃空き瓶類、板ガラスくず等。
Aコンクリートくず:製品の製造過程で生じるコンクリートブロック及びアスファルト・コンクリートくず等。
B陶磁器くず:土器くず、陶器くず等。

鉱さい 高炉・平炉・転炉・電気炉からの残さい、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂(塗料かす等を含むものを除く)等。
がれき類 工作物の新築、改装又は除去に伴って生じたコンクリート破片、その他これに類する不要物。
動物のふん尿 畜産農業 畜産農業から発生する家畜のふん尿。
動物の死体 畜産農業 畜産農業から発生する家畜の死体。
ばいじん ばい煙発生施設や焼却施設等において、集じん施設によって集められたもの等。
処分するために処理したもの 産業廃棄物を処分するために処理したもの。

 

※廃タイヤは、ゴムくずではありません、合成ゴムですので「廃プラスチック類」になります。
繊維くずは、排出限定業種以外から出る繊維くず、例えば衣服その他の繊維製品製造業から出た繊維くずは産業廃棄物ではなく「事務系の一般廃棄物」になります。

 

産業廃棄物の中でも、爆発性・毒性・感染性のある「特別な管理が必要な産業廃棄物」のことを『特別管理産業廃棄物』と呼んでいます。この特別産業廃棄物を収集運搬するには別途『特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可』が必要です。

 

特別管理産業廃棄物』はこちらをご覧ください。

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